高知ミュージアムネットワーク研修会
「障害のある来館者のために バリアフリー基礎講座」
日時 平成20年3月14日(金) 13:30〜15:30
場所 山内会館 2階 鳳凰の間(土佐山内家宝物資料館隣接)
講師 ・財団法人 高知県身体障害者連合会
     視覚障害者生活訓練指導員 別府 あかね 氏
・社団法人 高知県聴覚障害者協会
     会長、手話対策部長    山中 睦子 氏
   ・高知県立障害者スポーツセンター
スポーツ指導員      片岡 優世 氏

平成19年度研修会の第3弾は、「障害のある来館者のために バリアフリー基礎講座」と題し、今回は身体障害について3人の講師をお招きして勉強会を実施しました。

1)視覚障害について 別府 あかね 氏
視覚障害者によって見え方は様々で、情報の伝わり方やイメージのふくらませ方もそれぞれであり、接する際にも配慮が必要(例えばメモの書き方も、視野が狭い人には大きな文字が逆に見えにくい場合があり、また太いマジックペンより細いボールペンが見やすい人もいるそうです)であることがわかりました。点字については、視覚障害者が全て読めるわけではないので、点字の資料を用意するだけでは十分ではないとのことでした。
次に、ロービジョン(弱視)や白内障の見え方については実技を交えて、資料や標識などをより見やすくするためのコントラストの重要性などを学びました。これに関連して、トイレなどの館内サインについては、館によって異なるよりも色やマークなどを統一した方が分かりやすいといった提案もありました。

2)聴覚障害について 山中 睦子 氏
 聴覚障害のコミュニケーション手段には、口談・手話・筆談・身ぶりなどがあり、コミュニケーションにあたっては、声を出して(口を動かしながら)筆談をするなど複数を使うとより伝わりやすいことがわかりました。そして、あいさつを中心にいくつか手話を学びました。(「ありがとう」は相撲取りが懸賞金を受け取る仕草から来ているとの話には、なるほどと頷きながら覚えました。)
 また、ミュージアムで行われるギャラリートーク等については、説明と鑑賞が同時進行であることが多く急ぎ足になってしまいがちで、聴覚障害者は説明をみながら鑑賞するので、ゆっくりみることができる環境をつくったほうが良いということ、館内での緊急放送については、放送とあわせて紙に情報を書くなどして館内をまわるなどの工夫が必要との助言もいただきました。

3)障害について 片岡 優世 氏
 高知県には約51,000もの障害者がいるが、障害者への情報が少ないようで、障害者でも気軽に・安心して・楽しめるということがわかるような(例えば、身障者用のトイレがある。スタッフがサポートできるなど。)障害者向けの情報の提供を必要としていることがわかりました。あわせて、バリアフリーなどの施設のハード面より人のサービスが重要であることをあげ、県内某ミュージアムのスタッフの対応を例に、施設の不便な部分などについては入館時などに説明があれば良いとおっしゃっていました。
 後半は車椅子の持ち方・押し方について学びました。車椅子ごと持つのが良いのか、車椅子と人を別に移動させるのが良いのかは人によって異なるので、障害に合わせてどんな持ち方が良いのかを聞くこと、車椅子を持つ際・押す際には、必ず声がけしてからするようにとのことでした。

 今回は、身体障害について勉強しましたが、障害は人それぞれであり、接する際の留意点も障害にあわせて様々であるこがわかりました。3人の講師のお話の中で共通していたことは、声がけや身振りなど、私たちも今まで使ってきたコミュニケーション手段で障害者に尋ねることで、その方に合わせた柔軟なサービスが可能だということでした。普段から私たちも当たり前に使うコミュニケーション手段は、人と人とをつなぐための重要なものであることに改めて気づきました。また、障害者の方とのコミュニケーションは私たちにも決して特別なことではなく、普段の生活の中で十分できるものであることを知ることができました。